大自然は、ビターな悲しみも、スイートな喜びも、いつも、突然もたらしてくれた。その自然も、ファーブルじゃないが、熱中してよーく観察すると、気性予報士のように、その予兆と気配がわかるようになるものだ。そして大自然とは、とてもシンプルな法則、ピュアな動機、無垢な純心で成り立っていることに感動する。マイ・ファニー・ナチュラルとの5年は、一日たりとも同じ日が無い、いや、一日の中でも変化し続ける、毎日が毎時間が、瞬く間の新鮮な驚きと初体験の連続だった。人生、あの世に持っていけるのは、思い出だけだ。だから、二度とない今 一瞬のまばゆいトキメキとゆらめきの連続は、あきることのない最高のエンターテイメント。それは、主演女優と主演男優を張った、リハーサルも、撮り直しも、本の直しも、編集もできない、たった一度だけのテイク・ワン・ドラマ。これこそライブ。THE END まで、カメラは回り続ける唯一無二の人生活劇。人様が紡ぐ、どんな小説よりも、人様が描く、どんな映画よりも、面白いに決まってる。スリルとサスペンス。エロスとロマンス。ハピネスとペインズ。時雨も時化(しけ)も、小春も灼熱も、麗らかも吹雪も、ファンタジー。味わい深いラブコメディーのスペクタクル巨編。命がけのロードムービー。処女作で遺作。たった1本の超大作だもの。
2007年5月27日は、ファニー、ユニーク、クレイジー炸裂の大自然ばんざい!恥ずかしいが楽しい、可笑しいが嬉しい、愉快壮快愉悦のビックサンデーだった。土曜の夜も更けて、気がつくと日曜の午前1時。目もしょぼしょぼ、身もふらふら。PCから離れて気分転換につけたスカパー、ちょうど始りかけたトム・クルーズまがいのフランス映画「ナイト・オブ・ザ・スカイ」の、ほど良いBぶりが、凝りほぐしにぴったりで、すっかりハマり見入ってしまった2時ごろ、自宅電話が鳴った。この時間に電話が来るような仕事状況じゃない週末だ。電話機の着信表示を見るまでもなく、嬉しくて胸躍らせながら電話に出た。期待通り、ナチュラル。想像通り、気持ち良さそうなワイン酔いの声。実に2ヶ月半ぶりのささやく甘い吐息をドクドク耳が感じている。「あっ。いたんだ?酔ってる。。。酔ってまた電話しちゃった。。。メール見てくれた?」えっ。メール?「2通も送った。。。」えっ。2通?いつ?「さっき。。。」えっ。PC閉じて映画見てたから。なんて書いたメール?「いいの。。。あとで見て。。。」リブ。早くおいでよ。「もうベット。。。」いいよ。もう深夜だもの。そのままでタクシー飛び乗って。「ううぅん。。。 迎えに来てくれないの。。。」いいからぐずぐずしてる間に着いちゃうよ。深夜だから15分もあれば。。。15分後。本当に彼女は寝巻のまま玄関にいた。飛びつかれて戯れて、戸締まりをして、振り返ると、リブはグレーのゆるいスリーブレスな寝巻(ワンピ)姿で、すでにベットに横たわり姿態をあらわにさらしている。フットライトに浮かぶ、ふくよかなお尻をまるだしに。マジでー。ほんとうにベットからそのままノーパンでタクシーに飛び乗って来たのだ。信じられないけれど、あり得る。ファニーのゆえんだ。突き出された熟れた果実が無言で誘う。ちょうど2ヶ月前、突然の「もう一切関わりません 二度と連絡しないで下さい」宣言。2ヵ月後の先週末、2ヶ月ぶりの第一声は「酔ってる。。。」1時間の睦言深夜電話。3日前、2ヶ月ぶりのメールは「連絡先全て削除、着信拒否しました」宣言。そして今宵、深夜3時。2ヶ月半ぶりに飛んで来たナチュラルは、湯上がりに、かろうじて一糸まとった裸体もあらわに、はだけたゆるい寝巻姿だ。万事、こんな感じ。天真爛漫全開にリブ満開。こんな愉快な熟肌乙女はいないもの。2ヶ月ぐらい待ったって。なんてったって大自然。なす術なしの大女優。
目覚めは眩しい裸。ピクチャーウィンドーから射し込む青空を背に、いつもながら艶かしい裸で頭上をまたいでトイレにいこうとするリブ。「あら、帰らななきゃ」日曜だよ。仕事?「11時から原宿のS美容室。だから帰って支度しなきゃ」「あー。でもメンドクサイ」「だから嫌なの。こうなるから」???「もう、近所だからこのまま行く」???おいおい。せめてボクのパンツ借すからオープン・エアーで歩かないでよ。てな珍展開で、原宿駅近くのSヘアーサロンまで朝飯がてらワンコとともに10分くらいの朝散歩。今日は色の入れ直しもあるらしく、2時ご ろまでかかるとの事で、じゃ~3時にヤマハのカフェでと、いったん別れて帰宅。そしてPCを開けば、[●1通目 5月26日 23:00:43:JST 件名:酔ってる。。。本文:電話して。。。電話番号捨てたから電話できない。。。。(笑)] [●2通目 5月27日 0:44:16:JST 件名:諦める??? 本文:酔ってて会たい気持ちになってるけど 電話がないから寝てしまう。 夢心地は冷めたら泡のように。。。。] PCを閉じて映画を見入っていたボクは知るよしもない。それにしても、よく他のメアドを探し出してきたものだ。それに、捨てた電話番号も。
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うららかな午後3時、一足遅れて約束のカフェへ入るなり、西日にはじけたシャンパンの泡と彼女の髪色が、キラキラと美白のほおをゴールドに染める眩しさにほれぼれ。「せっかくだから、2~3見たいところがある」と、混みだした店を出て、寝巻姿にボクパンのリブと大混雑の表参道をそぞろめぐり、ココンゴで一服前に立ち寄ったUAレディースの地下で、ボクは30年前、お気に入りだったシャツとの再会に驚いた。リビングコーナーで売られていた洋書をめくれば、70年代後半、勇んで買ったライトニング・ボルトの半袖シャツだ。当時は珍しいパイル地のそのシャツを、あの"サーフィンの神様"ジェリー・ロペスが着ているお宝写真。あわてて、リブに駆け寄り得意になってサーフィン駄弁。「Leroy Grannis, Surf Photography of the 1960s and 1970s」には、ボクの夏が詰まってた。この日のような初夏の季節が。もう、とっくにセピアな懐かしいあのころ、潮焼けしたビックウェンズ デーが、カラーで蘇っていた。40歳の大自然。3つの会社の社長。18のハーフのひとり娘のママは、心も体もオープン・エアーな大胆と恥じらいの大人の乙女。こうして、ファニーとちょっとセンチメンタル、愉快と感傷に遊んだ日曜日は暮れた。
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「LEROY GRANNIS / Surf Photography of the 1960s and 1970s」 Steve Barilotti/著者/Jim Heimann/編集/Leroy Grannis/写真/TASCHEN/出版/2007/4/4/初版/。 サーフ写真のパイオニア、リロイ・グラニスのベスト版とも言える、黄金期の60's~70'sに写された、伝説のサーフシーン、ロコのライフスタイル、輝くサーフバムたちが満載の写真集。
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