ミック・ジャガーのお隣に住む画家で同年の友人ダン・シュレシンジャーは、週末ともなれば自ら日本蕎麦を打ち、妻子にふるまうほどの大の知日・親日・愛日派。いや日本オタクと言ったほうがいい。そもそも彼は生粋のニューヨーカーなのだが、縁あって15才の時、交換留学生として1年住んだところが京都の町屋。見る聞く食べる、万事がカルチャーショックだったらしく、帰国後、イェール大に進学したものの行き先は日本学。そんな彼を、一躍有名にしたのが、これまた日本好きが高じた運命的出会いで、「ハリーポッター」日本語版の表紙画家となってしまったことだ。ついでに付け加えると、イェールで専攻した日本学じゃ食えないと、法律を学びにハーバード、それじゃ不足と、法律を扱きにオックスフォード、晴れて弁護士となって、とうとう日本の法律事務所に来ちゃうってほどの日本の追っかけ。その追っかけも実はプロはだ?というのも、イェール時代はマラソンランナー。未だ破られていない大学記録を持つオリンピック強化選手だったのだ。しかもオリンピックへ向けた強化トレーニングで、何度も来日しているというから、日本とは切っても切れない呆れるほどの深~いご縁。僕は、そんな彼の日本における画家活動のPR、広報をプロモーションしていたんであります。
そんな折の2003年。ダンが小布施町というところで、日本に住んでもう長いイェール大、日本学の先輩、アレックス・カー氏の講演があるので、ぜひ行きたいと言い出した。何処そこ?誰それ?だった僕は調べてびっくり。遅れてましたー。知りませんでしたー。長野の小布施町は由緒由来ある造り酒屋「桝一」が、つとに有名。その桝一と小布施町を、もっと有名にした有名人が米嬢セーラ・マリ・カミングス。彼女は長野オリンピック時に来日して以来、日本の古来文化に魅せられて、当の地元町民さえ失ってしまった伝統文化の再認識を鼓舞し、リードし、小布施のPR、町興しに大成功。2002年には、その功績が称えられ、日経ウーマン誌の「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」大賞を受賞している。現在は、桝一市村酒造取締役を勤める傍ら、小布施で毎月1回、ゾロ目の日に催される文化活動「小布施ッション」を主宰。こちらも、半端じゃない日本オタクのツワモノ。しかも実績がスゴイ凄腕。よし!行こう!行こう!と、行きました。アレックス・カー講演の「小布施ッション」。セーラさんの紹介を受けて、カー氏とも苦笑・談笑・激笑。日本の真価と日本の悲劇、日本の現状を熱く語る語る。そして驚きましたー。ダン、セーラ、カーさんたち、イェールだハーバードだプリンストンだと、超高学歴の方々の筋金入りの日本愛ぶりに。当然、カー氏は、写真の著書を出したばかり。前作「美しき日本の残像」の続編、完結編が激辛口の「犬と鬼」。原書はすでにアメリカで「Dogs and Demons / Tales from the Dark Side of Japan」というタイトルで出版され、ニューヨークタイムス紙等で大絶賛。日本美の正確な紹介と賛美、その美を放擲した戦後64年の日本人と制度、教育の批判。そのストレートな辛らつさがアメリカで火が付き、遅まきながら講談社から日本版が出されたといういきさつ。戦後64年の家庭教育、学校教育、社会教育で、見て見ぬ振りしてきた日本論。老いも若きも、自国を侮辱、自虐する体質。そんな日本の美点と汚点を、オカダ節@大声よりも、カー@激辛口の方が上手かも っと感嘆すること必至です!カー氏は誰よりも日本ラブである事を知らされます。「文化と自然の破壊」のくだりは教科書に使って欲しいと切に願う最強の応援歌。以下、「帯」のヘッドコピーは、ご参考まで。
美しい文化遺産。美しい国土。
すぐれた教育制度。
世界一の個人貯蓄。
それらがありながら、
なぜ日本は道を踏み外すのか?
「美しき日本の残像」
新潮学芸賞の著者による
衝撃的日本論!
ご興味ある方は、ぜひ、ご一読を。辛いです。耳が痛いです。義務も責任も払わず、言いたい放題、やりたい放題、戦後の平和ボケお馬鹿キャラ蔓延の日本人には。「犬と鬼」 知らざる日本の肖像 講談社 2625円。 アレックス・カー略歴:1952年アメリカ生まれ。東洋文化研究家。12歳の時、海軍の弁護士だった父に連れられ初来日。横浜に2年間住んだ後に帰国。イェール大学で日本学を専攻する。19歳のときヒッチハイクで日本一周の旅を敢行。その時出会った徳島県祖谷(いや)の茅葺き屋根の家 に魅かれ、慶應義塾大学に通いながら、古い家屋を修復する。『美しき日本の残像』(朝日文庫)で新潮学芸賞受賞。『犬と鬼』で、現代日本の暗部を暴く(講談社)。現在、京都の町屋リノベーションをはじめ、テレビ出演、講演活動、Chiiori での日本文化啓蒙活動継続中。
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