「ホリデー」や「バケーション」ってサウンドには、憧れとか懐かしさが香っている。毎日毎日、生活が文化的になっていった50~60年代がかぶってくるのだ。洗濯機が、冷蔵庫が、テレビが、カラーテレビが、ステレオが、そしてマイカーが生活に加わっていった時代。大量生産時代の恩恵が、等しい豊かさに満ちていく時代。核家族の起因ともなった、文化住宅、マイホーム。テレビで見るアメリカのホームドラマのように、気分まで欧米化していった、そんな季節がワクワクとではなく、ゆるやかにおとずれたミッド昭和に、休日や休暇ではなく、ホリデーやバケーションは似合っていた。百貨店ではなく「デパート」というカタカナ言葉の響きの気分ネ。もちろん言葉の本家では、単に「休日」で「休暇」にすぎないのだろうけれど。
写真の米雑誌「ホリーデー」は20年前、学生時代からよく知るアンティークオタクの後輩君が独立開業した、フィフティーズの雑貨&家具をあつかう店先に20冊くらい積まれていた、その一番上にあった1冊。店はド級のオタク君らしく、いつも出所・由緒正しいグッド・コンディションの希有な逸品ばかり。ご覧のとおり、さすがグッド・チョイスの掘り出しモノ。誌面は、昔のアサヒグラフのような大判で、タイトルの響きと甘いイラストからは、あの憧れと懐かしが香り立っていた。しかも、ご本家サマのものだ。もう迷わず1冊買ってしまった。ほんとうは積まれた山ごと欲しかったが、あいにくかなり高価だったのでやむなし。しかし1冊とはいえ、本家は期待を裏切らなかった。カバーもチャーミングだけど、中の広告は見るに愉快。見開きや小さなコマ割りの広告には、エアライン、カーレンタル、トラベルエージェンシー、ホテル&インなどの宿泊施設、旅をテーマにしたジュエリーショップや旅行バッグなどなどで、あふれかえっていた。鉄道から飛行機の時代へ飛躍して、余暇が一大レジャー産業となった当時のアメリカが満載だ。そして驚くことに、写真の「ホリデー」は1949年の7月号。そもそもこの雑誌、1946年創刊なのだ。日本では70~80年代にやっと成長していったレジャー&トラベル産業界なのに。なんだかいつも日本はアメリカの20年あとを行っているのだろうか? ついこないだの大騒動ホリエモン事件もそうだ。マイケル・ダグラス、チャーリー・シーンの「ウォール街」(1987年)や、メラニー・グリフィス、シガニー・ウィーバー、ハリソン・フォードの「ワーキングガール」(1988年)が、80年代に見せてくれていた話じゃない。空前の大ヒットとなった、ジュリア・ロバーツ、リチャード・ギアの「プリティー・ウーマン」(1990年)なんて、今でいう、破綻したリーマンみたいな傲慢金融資本主義の亡者役がリチャード・ギアだったのだから。
雑誌「ホリデー」は1946年創刊から20年ほど続いて1968年に廃刊となっている。それは、人類が初めて月に降り立った年。人類が初めて衛星生中継でつながった年。「2001年宇宙の旅」でニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」が奏でられた年。1968年って、なんだか僕には、2009年の「新地球主義」につながる起源の年だったように思えてならない。人生はきっと永遠の「ホリデー」なんだよ。 クリスマス・ホリデーに映画「ホリデー」が心地いいように。。。
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HOLIDAY バックナンバー1946~1957
HOLIDAY バックナンバー1958~1968
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2 件のコメント:
サバービアスイートですねー。
パンナムの光る看板が憧れです。
バッグはいかにもなので、キャセイパシフィックのシルバーバッグを狙ってたとこでした。
キャセイパシフィックってホリデー並みにウキウキする語感じゃないかしら?
アタック25とかドレミファドンなんて昔のクイズ番組も一緒に思い浮かんじゃう。
キャセイパシフィックはいい響きねー。それにしても、アタックとかドレミファドンまで思い浮かぶとは。。。流石9コさん!ナイス♪
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